2001年9月3日
学校法人 龍谷大学 理事長殿
京滋地区私立大学非常勤講師組合
執行委員長 福田拓司
非常勤講師待遇改善のための団体交渉の申し入れ
当労働組合と、労働条件および教学条件に関する下記要求書についての交渉の場を設けていただくよう申し入れます。日時は9月17日(月)から22日(土)の週の開催を希望いたしますので、ご都合をお知らせ下さい。9月11日(火)までにご返事下さいますよう、よろしくお願いいたします。今回は日程にゆとりがなく、まことに申し訳ありませんが、なにとぞよろしくお願いします。
京滋地区私立大学非常勤講師組合
2001年度要求書
現在日本の大学は、少子化による運営の困難をはじめ多くの重要な課題に直面しています。各大学におかれましては、この難しい局面を乗り切ろうと努力を重ねておられることと存じます。しかしどんな情勢にあっても、基本的に大学に求められているのは、より質の高い教育と研究であることは言うまでもありません。大学は、営利団体や一般企業とは異なり、教育、研究という社会的責任を果たさなければならず、それなくして存在意義はありません。教育、研究の質の向上こそが、今日大学が全力を挙げて取り組むべき課題であると、日々教壇に立つ私たちは確信しております。
1997年に批准されたユネスコ「高等教育の教育職員の地位に関する勧告」は教育職員の果たす役割と貢献について、「高等教育の進展における教育職員の決定的な役割と、人類および現代社会の発展に対する彼らの貢献の重要性を認め、…」(前文)と述べ、その重要性を指摘しています。私たち非常勤講師もまた、そのような役割を担う教育職員の一翼であります。
私たちの組合は1995年の結成以来、京滋地区の四大学と交渉を重ねてきましたが、いずれの大学も、表現上の多少の違いはあるものの非常勤講師を「教学上不可欠なパートナー」と位置付けています。いずれの大学においても非常勤講師なしでは教学が成り立たない状況にあること、そしてこの非常勤講師のおよそ半数が本務校を持たない専業非常勤講師であることは私立大学教職員組合連合による例年の実態調査や、国立大学協会報告書の資料によって明らかにされています。
しかし、この大学にとってなくてはならないはずの非常勤講師は、きわめて劣悪な待遇に喘いでいます。雇用は不安定で、生活の見通しがまったく持てません。賃金は極端な低賃金で、しかも社会保障がほとんど何もないために、乏しい収入から健康保険料や年金を支払わねばなりません。また大学教育においては、研究業績をあげることで教育の力量を高めることが必要不可欠ですが、非常勤講師の場合は研究活動はすべて自前です。
日本育英会の奨学金は教育に貢献する職業に就いた場合に返済免除を認めていますが、非常勤講師は劣悪な条件で大学教育に犠牲的貢献をしているにもかかわらず、免除職とは認められず、年間10数万円もの返済を余儀なくされています。
賃金は一コマあたり、月額25000円前後で、専任並に月5〜6コマ働いても年収150万〜180万円にしかなりません。専任教員の年収は900万〜1200万円ですから、格差は控えめに見ても6〜7倍になります。さらに退職金や社会保険を考慮すれば格差はさらに拡大します。これではユネスコ勧告で「公平でいかなる差別もない雇用の条件を確立しなければならない」(40条)とし、非常勤の場合は「常勤で雇用される教育職員に比例して同等な報酬を受け、かつ相当する基本的雇用条件を享受しなければならない」(72条a)と述べられているような同一労働同一賃金の原則に反するばかりか、一般のパートタイマーとフルタイマーの格差に比しても、専任教員の授業以外の職務を考慮してもなお、常軌を逸した格差と言わざるをえません。
非常勤講師は研究者としての業績を求められ、専任教員と同じレベルの授業を求められています。しかし研究活動に関しては何の補助ももらえず、教育についても、授業の準備や授業外での学生の指導などの活動の場が大学の中にほとんどありません。
大学教育に大きな比重を占める非常勤講師のこのような待遇を放置することは、大学教育の質を低下させ、学生を失望させ、大学院生の将来的展望を奪い、大学の社会的責任を放棄することになると考えます。
労働省は、昨年4月18日に「パートタイム労働にかかわる雇用管理研究会報告」(別紙5参照)を作成し、パートタイム労働処遇や労働条件に関し、通常の労働者との均等を考慮するための具体的検討に入ることを、勧めています。また国立大学協会は昨年5月に「男女共同参画を推進するために」報告書を作成し、「非常勤講師の処遇および研究環境の改善」に言及して、「非常勤講師の処遇の改善が必要であることは言うまでもない」として、具体的提言を行っています。日本の非常勤講師の現状はこのような動向に大きく遅れをとっていると言わざるをえません。
私達は京滋私大教連の協力を得て、非常勤講師の実態調査を行い、この度報告書をまとめ、非常勤講師のおかれている劣悪な待遇を明らかにいたしました。問題をこれ以上放置することはもはや許されないのではないでしょうか。
どうか以下の要求項目を誠実にご検討下さい。いずれも私達にとっては切実な要求です。そしてできるところから改善の努力を示して下さいますようお願いいたします。
(雇用の安定化)
* 一方的な雇い止め、正当な理由のないコマ数減は行わない。またこのことをすべての専任教員に周知徹底する。
* 非常勤講師のコマ数を削減する場合は、専業非常勤講師を優先的に残す。
* 契約後履修者が少ないなどの理由で開講しない場合も、契約期間内の賃金は全額支払う。
* 出産、育児、介護、病気を理由に雇止を行わない。産前産後休暇、育児休業(男女共)、介護休暇、病気休暇を、専任教員の条件に準じて検討する。
* 翌年度の雇用について、9月中に連絡する。
*非常勤講師に関する規定等の変更については、当事者である当組合に意見を求め、報告する。
(労働条件の改善)
* 非常勤給のランク分けを再検討し、遅くとも10年間で最高ランクに達するよう、変更する(龍谷大学の場合は20年もかかるので、せめて15年に短縮していただきたいと思います)。
* 1コマ当たりの最低賃金を月額50000円とする。(この金額の根拠は添付資料をご参照下さい。)
* 出校手当を支給する。
*私学共済への加入を実現するための対策を他大学に呼びかけて共に検討する。その実現までは、国民健康保険料の補助を行う。
* 夏期冬期の一時金を支給する。
* 退職一時金を支給する。
* 専任教員と同様に日本育英会の奨学金返済を免除するよう文部省、育英会に働きかける。
*就業規則を明らかにし、非常勤講師に周知徹底する。
*労災保険制度が非常勤講師にも適用されていることを、非常勤講師に周知徹底する。
* 災害見舞金、慶弔規定を設ける。既にある場合は非常勤講師に周知徹底する。
* 大学が所有あるいは契約する福利厚生施設の使用を認める。
*健康診断の実施について、非常勤講師に周知徹底する。
(教育研究条件の改善)
* 授業準備の経費を含む研究費を、1コマにつき少なくとも年額3万円支給する。
* 1クラスの人数を適正な規模に制限する。また受講者数が標準より多い場合には、特別手当を支給する。
* 研究のためのコピーカードを支給する。
*非常勤教員と専任教員の教学会議を制度的に設定し、非常勤講師にカリキュラムや教育内容について発言の機会を与える。交通費、出席手当を支給する(昨年度「検討する」とのご回答でしたので、検討の結果をお聞かせ下さい)。
* 大学紀要への執筆について、実態を調査する。可能な場合は応募要件を講師室に貼り出すなどして、周知徹底する。
* クラス交流推進のため、クラス運営に伴う合宿、クラス・ミーティングのための費用を補助する。
*職場環境を改善する。(講師室に授業準備のための空間としての設備を整える。個人用ロッカーを設置し、教材や辞書等の荷物を置ける場所を保障する。教材としての図書、ビデオ、カセットなどの購入申請を認める、掲示板(1メートル四方くらいの大きさのもの)をすべての控室に設置する、パソコンの端末を控室に配備しパソコンを使用できるようにする等)
(資料として、現在当組合が知りうる限りの四大学の現状一覧表を付します。不明の箇所はご説明いただき、誤りがあればご指摘下さいますようお願いします。)
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