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2002年度要求書

今年度より,四大学に共通要求として同じ要求書を出し,別途各大学の事情に応じた個別の要求を添える形としました.資料として「1コマ当たり月額50,000円要求の根拠」「四大学労働教学条件一覧2002」「四大学出講案内一覧2002」を添付しました.

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非常勤講師待遇改善のための団体交渉の申し入れ

 当労働組合と労働条件および教学条件に関する下記要求書についての交渉の場を設けていただくよう申し入れます。日時は5月27日(月)から6月8日(土)の開催を希望いたしますので、ご指定下さい。5月17日(金)までにご返事下さいますよう、よろしくお願いいたします。

京滋地区私立大学非常勤講師組合 2002年度要求書

 現在日本の大学は、少子化による運営の困難をはじめ多くの課題に直面し、その存在意義を問われる重大な局面を迎えています。各大学におかれましては、この難しい局面を乗り切ろうと努力を重ねておられることと存じます。しかしどんな情勢にあっても、基本的に大学に求められているのは、より質の高い教育と研究であることは言うまでもありません。大学は、営利団体や一般企業とは異なり、教育、研究という社会的責任を果たさなければならず、それなくして存在意義はありません。教育、研究の質の向上こそが、今日大学が全力を挙げて取り組むべき課題であると、日々教壇に立つ私たちは確信しております。

 1997年に批准されたユネスコ「高等教育の教育職員の地位に関する勧告」は教育職員の果たす役割と貢献について、「高等教育の進展における教育職員の決定的な役割と、人類および現代社会の発展に対する彼らの貢献の重要性を認め、…」(前文)と述べ、その重要性を指摘しています。私たち非常勤講師もまた、そのような役割を担う教育職員の一翼であります。

 私たちの組合は1995年の結成以来、京滋地区の四大学と交渉を重ねてきましたが、いずれの大学も、表現上の多少の違いはあるものの非常勤講師を「教学上不可欠なパートナー」と位置付けています。いずれの大学においても非常勤講師なしでは教学が成り立たない状況にあること、そしてこの非常勤講師のおよそ半数が本務校を持たない専業非常勤講師であることは、私立大学教職員組合連合による例年の実態調査や、国立大学協会報告書の資料によって明らかにされています。大阪および京滋私大教連による資料集『近畿地区私大・短大労働条件等資料集 2001年版』によると、近畿地域の私立大学では、1大学あたり専任教員と非常勤講師との比率は、おおよそ1:2であり、非常勤講師の中での専業非常勤講師の割合は約5割におよび、専任数に匹敵します。専業非常勤講師は平均2.7校をかけもちしていますから、おおよそ900人が近畿地域の私立大学に存在していると思われます。

 しかし、この大学にとってなくてはならないはずの非常勤講師は、きわめて劣悪な待遇に喘いでいます。雇用は不安定で、生活の見通しがまったく持てません。賃金は極端な低賃金で、しかも社会保障がほとんど何もないために、乏しい収入から健康保険料や年金を支払わねばなりません。また大学教育においては、研究業績をあげることで教育の力量を高めることが必要不可欠ですが、非常勤講師の場合は研究活動はすべて自前です。

 日本育英会の奨学金は教育に貢献する職業に就いた場合に返済免除を認めていますが、非常勤講師は劣悪な条件で大学教育に犠牲的貢献をしているにもかかわらず、免除職とは認められず、年間10数万円もの返済を余儀なくされています。

 賃金は一コマあたり、月額25000円前後で、専任並に月5〜6コマ働いても年収150万〜180万円にしかなりません。専任教員の年収は900万〜1200万円ですから、格差は控えめに見ても6〜7倍になります。さらに退職金や社会保険を考慮すれば格差はさらに拡大します。これではユネスコ勧告で「公平でいかなる差別もない雇用の条件を確立しなければならない」(40条)とし、非常勤の場合は「常勤で雇用される教育職員に比例して同等な報酬を受け、かつ相当する基本的雇用条件を享受しなければならない」(72条a)と述べられているような同一労働同一賃金の原則に反するばかりか、一般のパートタイマーとフルタイマーの格差に比しても、専任教員の授業以外の職務を考慮してもなお、常軌を逸した格差と言わざるをえません。

 非常勤講師は研究者としての業績を求められ、専任教員と同じレベルの授業を求められています。しかし研究活動に関しては何の補助ももらえず、教育についても、授業の準備や授業外での学生の指導などの活動の場が大学の中にほとんどありません。

 大学教育に大きな比重を占める非常勤講師のこのような待遇を放置することは、大学教育の質を低下させ、学生を失望させ、大学院生の将来的展望を奪い、大学の社会的責任を放棄することになると考えます。

 厚生労働省はかねてよりパートタイム労働処遇や労働条件に関し、通常の労働者との均等を考慮するための具体的検討に入ることを、勧めています。また国立大学協会は2000年5月に報告書「男女共同参画を推進するために」を作成し、「非常勤講師の処遇および研究環境の改善」に言及して、「非常勤講師の処遇の改善が必要であることは言うまでもない」として、具体的提言を行っています。日本の非常勤講師の現状はこのような動向に大きく遅れをとっていると言わざるをえません。

 私たちは京滋私大教連の協力を得て、非常勤講師の実態調査を行い、この度報告書をまとめ、非常勤講師のおかれている劣悪な待遇を明らかにいたしました。それによれば,専業非常勤講師は平均週8.5コマの授業をこなし、月収はおよそ21万円、年収にして263万円です。日本のあらゆる職業を含む民間労働者の年間平均給与461万円(1999年)と比較しても、その6割にも満たないのです。そこから国保料国民年金を負担し、奨学金を返済し、休暇の保障もほとんどなく、雇い止めになれば退職金もほとんどもらえません。いつ雇い止めになっても不思議ではない不安定な身分でありながら雇用保険にも入れず、失業保険ももらえないのです。この劣悪な待遇の非常勤講師は、かつては専任教員になるまでの橋渡し期間であるかのように考えられていましたが、今や平均10.4年の勤続年数をもち、恒常的に存在する地位となっているのです。

 この報告については多くの新聞等で紹介され、非常勤問題への社会的注目があらためて明らかになっています。私たちは2月に首都圏大学非常勤講師組合、阪神非常勤講師組合とともに、文部科学省、厚生労働省との懇談の機会を持ち、大学非常勤講師のおかれた実態と待遇改善の要求を聞いていただくことができました。4月2日には第145回国会参議院文教科学委員会にて、林紀子議員(日本共産党)が文部科学省に対して大学非常勤講師問題についての質問を行いました。文部科学省、厚生労働省との懇談は継続して行われる予定です。この問題をこれ以上放置することは社会的公正の観点からも人権の観点からも、もはや許されることではないと考えます。

 どうか以下の要求項目を誠実にご検討下さい。いずれも私達にとっては切実な要求です。そしてできるところから改善の努力を示して下さいますようお願いいたします。

  1. この話合いを正式な団体交渉と位置付けること。
  2. 話合いの後、文書により回答すること。
  3. 貴大学の現状について、以下の点を明らかにする資料を事前に送付すること。
    1.教員数(雇用形態別※にそれぞれ)
    2.授業のコマ数(雇用形態別※にそれぞれ)
    3.支払われている給与の総額(雇用形態別※にそれぞれ)
    4.給与に対する助成金の総額(雇用形態別※にそれぞれ)
    ※「雇用形態別」というのは,常勤教員は,「専任,契約講師,客員教授,チェアプロフェッサー,常勤講師,嘱託講師,特任教授,特別任用教員,特定任用教員」等に分類し,非常勤講師は「本務校のあるもの」と「本務校のないもの」に分けてご回答願います.
  4. アカデミック・ハラスメント(セクシュアル・ハラスメントを含む)に対する防止・対策の実施状況について説明する。資料があれば、事前に送付する。

    (雇用の安定化)

  5. 一方的な雇い止め、正当な理由のないコマ数減は行わない。またこのことをすべての専任教員に周知徹底する。
  6. 非常勤講師のコマ数を削減する場合は、専業非常勤講師を優先的に残す。
  7. 契約後履修者が少ないなどの理由で開講しない場合も、契約期間内の賃金は全額支払う。
  8. 出産、育児、介護、病気を理由に雇止を行わない。産前産後休暇、育児休業(男女共)、介護休暇、病気休暇を、専任教員の条件に準じて検討する。制度が既にある場合は非常勤講師に周知徹底する。
  9. 翌年度の雇用について、9月中に連絡する。
  10. 非常勤講師に関わる規定の変更などについては、当事者である当非常勤講師組合に意見を求め、報告を行う。
  11. 「契約講師」、「嘱託講師」と呼ばれる有期雇用制度について、導入の検討状況を説明し、すでに検討、実施している場合は、その詳しい条件と、有期雇用である合理的理由を明らかにする。

    (労働条件の改善)

  12. 1コマ当たりの最低賃金を月額50000円とする(50000円の根拠については別紙を参照下さい)。それが無理な場合は月額最低賃金を1000円以上引き上げる。賃金の一覧およびランク付けの根拠を「出講案内」「開講案内」「出講手帳」等に掲載する。また、出講(出校)手当を支給する。すでに支給している場合は増額する。
  13. 夏期冬期の一時金を支給する。
  14. 退職一時金を支給する。
  15. 私学共済への加入を実現するための対策を他大学に呼びかけて共に検討する。その実現までは国民健康保険料の補助を行うことを昨年お願いしましたが、ご検討の結果をご報告下さい。
  16. 専任教員と同様に日本育英会の奨学金返済を免除するよう文部省、育英会に働きかける。
  17. 労基法に基づいた就業規則を作り、非常勤講師に周知徹底する。
  18. 労災保険制度が非常勤講師にも適用されていることを、非常勤講師に周知徹底する。
  19. 災害見舞金、慶弔規定を設ける。既にある場合は非常勤講師に周知徹底する。
  20. 健康診断を実施する。実施している場合は、非常勤講師への周知徹底の努力を行う。

    (教育研究条件の改善)

  21. 授業準備の経費を含む研究費を、1コマにつき少なくとも年額3万円支給する。
  22. 1クラスの人数を適正な規模に制限する。また受講者数が標準より多い場合には、特別手当を支給する。人数制限の規定がある場合はその人数をご回答ください。
  23. 非常勤教員と専任教員の教学会議への出席手当を授業の単価と同じ基準とする。
  24. 研究のためのコピーカードを支給する。
  25. 大学紀要への執筆について、実態を調査する。可能な場合は応募要件を講師室に貼り出すなどして、周知徹底する。
  26. 職場環境を改善する(講師室に授業準備のための作業用机、個人ブースを設ける。個人用ロッカーを設置し、教材や辞書等の荷物を置ける場所を設ける。教材としての図書、ビデオ、カセットなどの購入申請を認める。非常勤講師組合の掲示板(1メートル四方くらいの大きさ)をすべての控室に備える。パソコンの端末を控室に配備し控室でパソコンを使用できるようにする)。
  27. 身分証明書を発行する。

(資料として、現在当組合が知りうる限りの四大学の現状一覧表を付します。不明の箇所はご説明いただき、誤りがあればご指摘下さいますようお願いします。)


京都産業大学個別要求

  1. 出講案内に,賃金体系を記載する.また,あわせて本務校のない非常勤講師のランク付けについても,わかりやすく記載する.
  2. 輪転機の印刷をセルフで出来るようにする.コピーカードの貸し出しを簡略化する.1週間前に用意することのできる資料もあるが,その度ごとに必要となる資料もある.70枚などの印刷をコピー機で行うのは,大学側の費用と教員の時間の無駄である.
  3. 本館の控室にパソコンを設置し,インターネット用の情報コンセントも設置する.また教員用のパソコンやプリンタ,インターネット用の情報コンセントが他にどこにあるかを掲示などで案内する.
  4. 本館控室に電子レンジを設置する.
  5. 他大学に比べ,指定図書の手配が早い,カセット・ビデオなどのメディアが貸与される,など,よいところがあるが,非常勤講師に周知や利用促進がよくできていないように思われる.周知・利用促進を図り,教育内容の向上に寄与すべきではないか.
  6. 非常勤講師組合員にかぎらず,理事,学長,教学トップ,総務,人事のトップの方々と非常勤講師の懇談会を開き,ざっくばらんに非常勤講師の日頃の意見や思っていることを聴く機会を作ってほしい.ひとり1万円という予算を有効に用いて,教学について非常勤講師が意見を言える場を設けてほしい.

同志社大学個別要求

  1. 昨年度の交渉で,次年度雇用契約について,「7月に希望調査をし,9月1日に出講調査票を(具体的内容が書かれた)を発送している」というご説明でしたが,必ずしも徹底されていないようです.改めて「7月に希望調査をし,9月1日に出講調査票を(具体的内容が書かれた)を発送」ということを徹底してください.
  2. 出講案内に,賃金のランク付けの根拠について,本務校のない者の場合の基準をわかるように記載してください.
  3. 出講案内に,慶弔,災害見舞について記載してください.
  4. 出校手当を増額してください.

立命館個別要求

  1. 各セメスター15回の根拠を説明してください.昔からそう決まっているということですが,いつどこで誰がどのように決めたものなのかをご回答ください.
  2. 現行「外国語常勤講師」と今年度から導入された「嘱託講師」は,若干の「その他の任務」があるものの,ほぼ授業は週10コマとほぼ同じような勤務内容です.ところが給与は一方が,年俸6,134,400円+個人資料費年120,000円+住宅手当月30,000円 (合計して年6,614,400円) であるのに対し,「嘱託講師」の方は年俸420万円となっています.この差は,同一労働同一賃金という視点から考えて,公序良俗に反すると思われますが,どのようなお考えでしょうか.
  3. 「言語教育常勤講師」「嘱託講師」について,決まっていることをご説明ください.導入時期については,前倒し導入がある場合は,それを含めてご回答ください.
  4. ロッカー設置の要求に対してご検討いただけるということだったが,設置されていない.文学部の控室はソファーがほとんどで授業の準備に不向き.今年度出講してみると昨年度よりも作業に向いた机と椅子の数が減っている.産社の控室には,プリント等を置く棚すらない.文学部などの控室にパソコンが設置されたが,教材を作るためにプリンタも設置してほしい.また要求に対して何か改善したときには,いつ何を改善したのかを組合にお知らせ願います.産社の講師控室が改善されたということですが,どのように改善されたのでしょうか?
  5. 健康診断の対象を非常勤講師にも広げてください.
  6. 「小集団教育担当補助制度」を外書購読,外国語再履修クラスにも適応してください.
  7. 「開講案内」に,慶弔,災害見舞について記載してください.
  8. 「開講案内」に,給与の級(ABC等)のを決める際の根拠を記載してください.
  9. 出講手当を増額してください.

龍谷大学個別要求

  1. 出講手帳に,賃金体系を記載する.また,あわせて本務校のない非常勤講師のランク付けについても,わかりやすく記載する.現行では,給与のランクがD→C,C→Bと上るのに10年ずつかかるが,これを短縮する.大学・短大以外の前歴も評価する.
  2. 出講手帳に,労働者災害補償制度があること,またその請求先を記載する.
  3. 出講手帳に,慶弔,災害見舞について記載する.
  4. 出講手帳に,健康診断について記載する.
  5. 健康診断について,例年7月末に決定,掲示により案内し,9月末に実施とのことだが,それでは,非常勤講師は,実施の案内を目にすることもなく健康診断が終わってしまう.各非常勤講師に個別に郵送等で連絡する.
  6. 出講(出校)手当を支給する.
  7. 昨年度交渉時にご説明のあった,新たな教員制度について,ご検討の経過をご説明ください.

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© 京滋地区私立大学非常勤講師組合

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